有生礼子(ありせれいこ)赤絵細描を描く女流作家。本来の九谷焼で描かれる赤絵細描を忠実に継承する正確な筆使いで描かれる丁寧な赤絵。まさにDNAと言えるのかもしれません。九谷焼の世界において赤絵細描の第一人者であり、今、最も希少な作品とも言われる赤絵細描作家、巨匠 福島武山先生を父に持つ真な継承者が有生礼子氏です。生まれながら、その赤絵細描という至高の技術の傍で育ってきた環境は修練だけでは得がたい感性に何かしらインパクトを与えていることでしょう。今後の活動に注目が集まる女流作家の一人であることは間違いありません。
【主な陶歴】1971年生まれ / 2011年 福島武山工房に入り父・福島武山に師事 / 北陸新幹線金沢駅待合室陶板制作
抹茶茶碗、和食器の中でも特別な器のひとつです。和食器の種類の中でも特別な格付けで取り扱いが行われる器が2つあります。一つは、ぐい呑・盃の酒器、そしてこの抹茶茶碗です。先の酒器も抹茶茶碗も器のサイズ的には他の食器に比べ大きいわけでもなく、また頻繁に使う用途がある器でもありません。しかしながら和食器のカテゴリーにおいては頂点に君臨し、格式高い器の代表として取り扱いが行われます。酒器、抹茶茶碗に共通して言えることは古来より宝物的な接し方により扱われて経緯から実用性よりも美術的価値のある器として存在してきたことが今日の扱われ方の由来だと思われます。現代においても、そのコレクション性の高さから多くの方々に愛される酒器・抹茶茶碗、こと抹茶茶碗に関しましては九谷焼の器は「わびさび」の部分ではなく華やかな茶会の華として場の雰囲気や茶人の会話の種として使われることが多いようです。土の素朴な風合いの器と相対する九谷の抹茶茶碗、この作風もまた茶席の大切なアイテムなのかもしれません。場所や季節によりお道具、設えを整える茶席において揃えておいて頂ければ幸いな器の一つであって欲しいと願います。