故人間国宝 三代徳田八十吉先生のご長女、現在四代目を襲名されております。世界に通用する上絵九谷の美しさを極めた釉彩技法、その技法を正当に継承する四代徳田八十吉氏の作品は先代が作り上げた透明感と奥深い色合いの世界観に女性ならではの繊細で優しい色合いを加えた新たな徳田カラーが特徴です。三代が残した偉業、そしてそれを継承しなおかつ次世代の作品を創り出す使命を持った四代。これからどのような世界観を生み出し、美しさを探求してゆかれるのかが個人的に楽しみでなりません。時代、時代ごとに世界が感動する色絵の世界を作り出してきた徳田家の技術と感性、まさに九谷焼にとっての宝であることは間違いありません。
【主な陶歴】
平成20年 第49回石川の伝統工芸展入選(以降第50回入選)
平成20年 第55回日本伝統工芸展入選(以降第57回・第59回入選)
平成22年 四代徳田八十吉襲名
平成24年 第1回公募展「茶の湯の現代 用と形」入選
抹茶茶碗、和食器の中でも特別な器のひとつです。和食器の種類の中でも特別な格付けで取り扱いが行われる器が2つあります。一つは、ぐい呑・盃の酒器、そしてこの抹茶茶碗です。先の酒器も抹茶茶碗も器のサイズ的には他の食器に比べ大きいわけでもなく、また頻繁に使う用途がある器でもありません。しかしながら和食器のカテゴリーにおいては頂点に君臨し、格式高い器の代表として取り扱いが行われます。酒器、抹茶茶碗に共通して言えることは古来より宝物的な接し方により扱われて経緯から実用性よりも美術的価値のある器として存在してきたことが今日の扱われ方の由来だと思われます。現代においても、そのコレクション性の高さから多くの方々に愛される酒器・抹茶茶碗、こと抹茶茶碗に関しましては九谷焼の器は「わびさび」の部分ではなく華やかな茶会の華として場の雰囲気や茶人の会話の種として使われることが多いようです。土の素朴な風合いの器と相対する九谷の抹茶茶碗、この作風もまた茶席の大切なアイテムなのかもしれません。場所や季節によりお道具、設えを整える茶席において揃えておいて頂ければ幸いな器の一つであって欲しいと願います。